塩がないとしょうがない その1

最近、体がだるい、やる気が出ない、

手足が冷える、眠りが浅い・・・。

こんな症状を抱えている方、それは

もしかしたら「塩分不足」かもしれませんよ。

「塩分不足?」と首をかしげる方がほとんどでしょう。

それはそうです。

現代では「塩分控えめが健康に良い」というのが「常識」になっているのですから。

今日はその「常識」をちょっと脇へ置いてください。

 

江戸時代の牢獄では、囚人が頑なに犯行を否認した場合、「塩抜き飯」を与えたそうです。

(テレビの時代劇で、よく逆さ吊りの水責めなど、残酷な拷問を再現しますが、

あれは真実ではないそうです。)

よほどのことがない限り、残酷な拷問は行わず、逆に「塩抜きの食事」が

緩やかな拷問として行われたとのことです。

するとどうなるでしょう。

囚人はだんだん体力がなくなり、体が辛くなります。

気力も衰え、「どうでもいいや」という気になり、ついには白状するのだそうです。

 

実は私も「塩」に関する体験があります。

小学校2年生の1学期、私は急性腎炎になりました。

 

医者からは「塩抜き」と「タンパク質を控えるように」との食事制限が

出されましたが、母はこう考えたのです。

「塩がなければ人間は死んでしまう。

ほどほどに摂らなければ却って治りが遅くなる。」

そして、お味噌汁も煮物も薄味に作ってはくれましたが、

決して「塩抜き」はしませんでした。

 

同じ頃、近所の酒屋さんの長男も急性腎炎になり、

医者から同じように「塩抜き」と「タンパク質を控える」食事療法を

指導されました。

酒屋のご両親は律儀に「無塩醤油」を使い、

息子の食事からあらゆる塩分を抜いてしまいました。

3週間程経ってからでしょうか、

私はそろそろ回復に向かい、あと10日ほどで学校にも行けるという頃、

酒屋の息子さんは体が衰弱して自力で立つこともできなくなり、

病院へ搬送されたという話が耳に入ってきました。

息子さんが退院したのはそれから2ヶ月以上も後のことです。

 

その話を聞いて、母は「ほらね、お母さんが正しかったでしょう?

人間は塩がなかったら体が持たないのよ。」と言って

微笑んだのを覚えています。

 

思えば奇妙なことですね。

血液を舐めるとしょっぱい事から分かるように、

私たちの体液には塩が含まれていますし、

塩がなければ生きていけません。

 

新たな生命を育む子宮の羊水も、その組成は海水と同じと言われています。

点滴に使われるリンゲル液も、1リットルに塩化ナトリウム0.86g、塩化カリウム0.30g、

塩化カルシウム0.33gが含まれています。

出血多量で輸血が必要なとき、重病で食事ができないときなど、

リンゲル液はなくてはならないものです。

それほど生命に必要な「塩」が、なぜ近年「控えめ」が良いとされているのでしょう?

日本人の食生活は、あえて「塩分控えめ」にしなければならないほど、

過剰に塩分を摂取していたのでしょうか?

次回はその点をフォーカスしてみたいと思います。